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心臓突然死 -統計と因果関係-

1992年アメリカ心臓協会(AHA)のCPRガイドライン改定で、心臓突然死の救命率向上にパブリックアクセス半自動除細動器(AED)の使用の有用性が述べられ、アメリカの主要な空港、ラスベガスのカジノにおかれるようになりました。カジノの警備員によるAEDの使用により、AEDによる除細動までの時間が4.4分±2.9分であり、パラメディックの到着時間9.8分±4.3分よりも早く、救命率向上(59%生存退院)となっています。また、誤作動の恐れについては、アメリカン航空の使用実績から見て、正常心電図の人にAEDが装着されても誤作動の可能性がないことは証明されてます。(兵庫県立健康センター河村剛史所長) また、国立循環器病センター北村総長によりますと、運動中の心肺停止の蘇生率は10%以下という統計であり、血液濃縮、ストレスなどで血栓を生じやすくなったときに左冠動脈の閉塞がおきれば容易に心室細動を起こしてしまいます。右冠動脈におきれば、急激な徐脈を生じます。

東京都医務観察院による急死例の剖検1,085例中、心臓性の急死は66.7%,脳血管障害は13.6%、大動脈瘤破裂は7.7%、消化器疾患7.6%、呼吸器疾患3.5%です。さらに、84年から88年のスポーツ中の突然死624例を同院徳留先生の分析によりますと、39歳以下が50%以上を占め、その直接原因は急性心(機能)不全が70%近くとなりますが、原因疾患では、肥大型心筋症、急性冠症候群、冠動脈低形成、冠動脈奇形、心筋炎があると推定されています。一方、中高年者のスポーツによる突然死も無視できなくなっていますが、スポーツによる脳血管障害は意外と少ないようです。40歳以上では、種目別では、ゴルフ、ランニング、ゲートボール、水泳、登山、テニスに多いことが知られています。

東京医大岩根先生の話によれば、過去新聞報道された運動中の突然死226人では、男性に多く、ランニングが最も多く、ラグビー、野球、テニスなどの球技よりもおおいということです。ゴール直前、直後に最も多く、ついで走り始め、次に走っている最中です。ただしすでに心臓病のある人は走りはじめに多いとされてます。猛暑、過労、試験勉強中、食事抜き、気分不快があると頻度が増えます。ジョギングの指導者フィックスがジョギング中に心筋梗塞で死亡し、解剖所見で冠動脈硬化が著しかった報告は、ジョガーを驚かせたました。また、肥大型心筋症は、一流選手にも多く、かつて才能ある若いバスケット選手がこの疾患で、引退を余儀なくされた例もあります。

ドイツ・フランクフルト大法医学センターParzellerによれば、1999年に、21年間21,000件の剖検から肉体活動中の突然死をまとめてますが、仕事中227(1.08%)平均53歳、スポーツ中73(0.34%)55歳、性行為中40(0.19%)61歳、女性の突然死は少数、原因は冠動脈疾患が最も多かったという報告です。 聖マリアンナ医大・高田らによると、年間8万人の日本の突然死を調べると、睡眠中34%、入浴中11%、休息中7%、労働中5%、排便中4%、歩行中3%、家事3%で、スポーツ中の突然死は 1% に過ぎませんが、単位時間当たりの危険率では最も高くなります。性別では男性が6倍、種目別では、40歳未満は、ランニング、40−59歳は、ゴルフ・ランニング、60歳以上ではゲートボール・ゴルフで、高齢者ほど、冠動脈疾患の相関が強くなり、運動強度には無関係となります。フィットネスクラブでの事故は、きわめて少なく488万人・年に一人で、屋外のスポーツ事故が圧倒的に多くなります。運動の温度、湿度などの環境、運動時間などの影響が推定されます。睡眠不足などの慢性疲労時にATポイントの低下、PEAKVO2の低下などから、運動前には十分な休養が必要であることがわかります。

一方、年齢層を少し下げて考えますと、学校管理化での死亡は、毎年200件以上あり、ここ10年以上頻度に変化はありません。心臓病が70−85%、脳血管障害が10−15%、大血管障害5%で、激しい運動中におきる突然死はほとんど心臓の異常で、高学年男子に多いとされてます。午前と午後にピークがあり、5月、10月ごろに多いという傾向に変わりはありません。心臓病など管理指導区分に入っていても事故は起きています。最近は、管理区分の軽い群からの運動中の死亡があり、ランニングなどの運動には、慎重な対応が必要です。また、脳血管障害では、脳動静脈奇形による出血があります。欧米でもほぼ同じ統計があり、アメリカにおける高校大学生のアスリートの年間10万ー30万にひとり、約50−100人、毎年スポーツによる突然死があります。(2000.10 Drezner)頻度が多いのは心筋症、左室肥大、冠動脈奇形、解離性大動脈瘤、心筋炎、拡張型心筋症、大動脈弁狭窄症、WPW、ARVD、QT延長症候群、僧帽弁逸脱症などです。
 
虚血性心疾患の多くは、冠動脈の内腔が徐々に狭くなるタイプよりも、粥状硬化が破綻して血栓を生ずるタイプの急性冠症候群(Acute coronary syndrome ACS)です。急性心筋梗塞を起こした人の半数近くが、検診を含めて直前の安静時心電図にその兆候がありません。病院到着前に心肺停止(心臓が止まる)している人の40−70%が心臓病で、心臓急死例の70%が心筋梗塞などのACSです。 ACSでは、発作から再び血液が流れ始めるまでの時間が生き死に分かれ目になります。かかりつけ医に、心電図の異常、高血圧、糖尿病の指摘を受けている人は、もし、胸の圧迫が5分以上続いたり、息苦しい、気が遠くなる、めまいなどがでたときは、”心臓の発作のかもしれない。” と考え、一刻も早くしかるべき病院へたどり着くことが大事です。救急車がくるまでは、ご家族、周りの人は、by standar CPR((居合わせた市民による蘇生)を是非行ってください。この一次救命措置(BLS basic life support)は、米国心臓協会ガイドライン2000が世界基準となって統一され日本でも採用になりました。かかりつけ医には、病状を連絡し過去の心電図などの資料は、すみやかに送ってもらいます。そして、ACSの日常の予防は、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸、肥満、喫煙習慣、ストレスの強い生活、運動習慣がない、45歳以上の男性、55歳以上の女性などが発作の予備軍ですので、主治医に相談し生活習慣を見直しも大事です。

喫煙習慣は、高血圧、高コレステロール、糖尿病と並んで心臓発作の大きな原因(リスクファクター)です。フラミンガム、久山町、フィンランドの多数の人を対象とした研究から、毎日20本吸う人は、1.5倍も冠動脈疾患になる率が高くなることがわかりました。 でも、その後1年間、完全禁煙できた人は元々吸わない人と同じ率に下がります。たばこをやめると太るからいやだ。という人多いのですが、がんの予防に比べて、1年禁煙するだけでも、これだけ効果もあがるのですから、心臓病のリスクのある人には禁煙を積極的に薦めます。

(健康かながわ --スポーツの突然死を予防する-- 2003.2号より)
神奈川県予防医学協会 精密総合検診部 羽鳥 裕先生の御好意により記事の一部を転載させていただきました。
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